亭主の独り言
大津理美社中の花展  (13)   2010.10


   1022 23 24日に別館の松鈴庵で花展が開催されました。伊勢原在住の大津美八子先生のご社中の皆様の作品が飾られました。

 私議恐縮ですが私も23歳の折、華道教室に通いました。嵯峨未生
流という関東ではあまり馴染みのない流派です。京都嵯峨大覚寺が宗家になります。関西圏に多いのです。私は和歌山におりまして、日前国懸
(ひのくまくにかかす)神宮の神主をしておりました。

 仕事柄、夜は 暇ですので華道教室に通っておりました。お花は無論女性が主ですよね。先生は男でした。「今日は男どもは何人来るんだ?」そんなことばかりおっしゃって、 私を帰しません。奥さん先生が「相原さんいつもすみませんね。言い出したら聞かないんです。少し待ってやって下さい」と言って出される紅茶。これがびっく り、カップ半分はブランデーが入っているんです。もともとお酒が好きな私です。いい気持になってきます。2,30人の女性が稽古を済ませる頃には男性の弟子たちが4,5人は集まって来ます。今日も酒盛りです。奥さん先生の手作りの料理は美味しかった。たまに教場で飲みつぶれ朝飯をご馳走になってから神社に出勤を致しました。

 ある時、生徒 たちの前に花材が無造作に置かれました。皆それぞれ違う材料です。私より先輩の女性たちはどんどん活けこみました。私も練習熱心な生徒でした。しかし、手 が動きません。焦って汗が出てきます。中央に座った先生は何も言いません。女性たちがいけ終わって帰ります。奥さん先生が寄ってきて「相原さんは今まで何 をやってきたんですか。そんな事じゃいけませんよ」。この言葉は一生忘れません。後に、大山に戻ってから山に入り材料を探し、私なりの生け花を試みていま す。そしてあの時の奥さん先生の叱責を思い出しながら。

 さて、大津先生のご社中は凄かったですよ。私がたまたま病気をして体が不自由だったのを見て、花の準備をしながら松鈴庵の庭を造り変えてしまいました。見違える素敵な庭になりました。男性のお弟子さんたちは孟宗竹を切り出して部屋を飾ります。緒方竹虎別邸の伝統的な和室にぴったりの生け込みが出来上がります。

 3日間の下準備。そして、金土日の花展。天候にも恵まれ、大勢の人が集まってきました。

 心優しい生徒さん達。それにもまして大津先生のご指導が素晴らしかったのです。

私はもう遠い昔の紀州での思いにめぐらせながら心地良い思いに浸りました。



 
相原秀樹亭主・館長 相原秀樹

私儀恐縮ですが、私は一見難しい人間に見られがちですが、実は全然違います。
おしゃ
べり大好きなのでお客様に嫌われないように静かにしています。
人間大好きです。なんでも結構です。お声をかけてください。

トップページへ                           過去の記 事へ